英語の勉強

祝!米国版はやぶさ”オシリス”、小惑星ベニューにタッチダウン成功 / 英語の翻訳

以前当ブログでも紹介した、米国版はやぶさの”オシリス・レックス”が、小惑星ベニュー(ベンヌ)にタッチダウン成功したようです。

サンプル採取方法は、”はやぶさ2”より進化しているようです。

参照のNASAのページの動画をみるとよく判るのですが、ロボットアームから窒素ガスを噴射して砂や石を吹き飛ばして、アームの先端に取り付けたサンプル回収器でキャッチして回収するようです。

本日はNASAさんのウェブページです
NASA’s OSIRIS-REx Spacecraft Successfully Touches Asteroid

 

この記事のポイント

サンプルの回収装置の構造がおもしろい

同NASAのウェブページにも動画が掲載されているので、ぜひ見てみてください。
上手く表現できないですが、わたしが頭に浮かんだイメージは「掃除機の逆バージョン」というカンジでしょうか?はやぶさ2よりたくさんサンプルを確保できそうです。
Youtubeで見ると良く判りますねぇ。
OSIRIS-REx Touch and Go (TAG) and Sample Stow Sequence

はやぶさ2の回収機構(*1)は以下の動画を見るとなんとなく分かります。
*1:サンプルの筒で体当たりして、巻き上がった砂礫(されき)を回収
「はやぶさ2」ミッションCG(小惑星リュウグウ到着から出発まで)

サンプル量が不足したら、2021年1月にもう一度タッチダウン!

サンプル回収の目標量は60グラムだそうです。
タッチダウンから1週間くらいかけて、タッチダウンした箇所の画像、サンプル回収器の写真、オリシスの慣性モーメントの測定(これで採取したサンプル量が判る)から、目標の60グラムのサンプルが採取できたか、判断するとのこと。
目標に達していないと判ったら、2021年1月にもう一度タッチダウンするようですよ。

以下の、2020年10月25日づけのBBCニュースによると、写真判定では、400gくらいは回収装置に取れてると推測されているようです。
でも、機体のどこかに石がハサマってドアが開かないで、収納できずに困っているみたいです。

Osiris-Rex: Nasa probe risks losing asteroid sample after door jams

該当部分を、以下に引用しておきますね。

“Pictures beamed back to Earth show a rock has wedged open the door of a container and a fraction of the sample is leaking, Nasa says.
Nasa is now trying to stow it safely.”

上手に、サンプルを機体に収納できないと、おそらく地球に落下させることができないと思うので、ひとごとながら少し心配です...

2021年3月にベニューを出発、2023年に地球へ帰還

地球とベニューの公転軌道の接近具合から、2021年3月にベニューを出発するのが、省エネでかえって来れるそうです。
そして、2023年に地球へ帰還するという手はずのようです。

ちなみに以下の記事でも紹介しましたが、”はやぶさ2”は2020年12月に地球に帰還です!

小惑星
米国版"はやぶさ"、オシリス・レックス(OSIRIS REx)、10月20日に小惑星ベニューへタッチダウン! 地球への帰還は2023年みなさん、小惑星探査機の"はやぶさ"覚えてますかぁ? 数々の苦難を乗り越えて、小惑星イトカワから、サンプルを持ち帰ってきましたよね。あ...

 

記事の翻訳解説です

オシリスが、ベニューへタッチダウンするところの描写を中心に翻訳解説しておきますね。

 

オシリスが、ベニューに向けて降下してゆくところの描写

まずは、以下のパラグラフを訳していきますね。

At 1:50 p.m. EDT, OSIRIS-REx fired its thrusters to nudge itself out of orbit around Bennu.
It extended the shoulder, then elbow, then wrist of its 11-foot (3.35-meter) sampling arm, known as the Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism (TAGSAM), and transited across Bennu while descending about a half-mile (805 meters) toward the surface.
After a four-hour descent, at an altitude of approximately 410 feet (125 meters), the spacecraft executed the “Checkpoint” burn, the first of two maneuvers to allow it to precisely target the sample collection site, known as “Nightingale.”

英単語・語句

thruster: 制御ロケット
nudge: (合図のために肘で)軽く突く、ゆっくりと動かす、近づく、近寄る、やさしく説得する
transit: 通過する
descend: 降りる、降下する、descendの名詞形でdescent:降下
maneuver:作戦行動、大演習

個別文の解釈です

技術用語が多く、修飾句が多いですが、丁寧に分解してゆけば判ると思います。

一文目/

Nudgeという単語(動詞)の意味が判ってしまえば、後はイメージ付きやすいでしょうか?
念のため、分解して、書く単語(句)を日本語に変換だけしておきます。
OSIRIS-REx fired its thrusters to nudge itself out of orbit around Bennu
(主語) OSIRIS-REx /
(動詞) fired /
(目的語(句)) its thrusters /
(副詞句)[<動詞>to nudge /
<目的語>itself
<副詞句>out of orbit around Bennu]

日本語に置き換えると意味が判ってきますね
(主語) オシリスレックスは/
(動詞) 点火した /
(目的語(句)) 姿勢制御ロケットを /
(副詞句)[<動詞>ゆっくり動かすために /
<目的語> それ自身を
<副詞句> ベニューを周回する軌道の外に]

二文目/

It extended the shoulder, then elbow, then wrist of its 11-foot (3.35-meter) sampling arm, known as the Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism (TAGSAM), and transited across Bennu while descending about a half-mile (805 meters) toward the surface.

ずらずらと長いですね。
2つの文がandでつながっていることがまず判ることが第一ステップですね。
主語はIt (= ORISIS REx)、一つ目の動詞はextended、二つ目の動詞はtransitedですね。
2つ目の文にwhile~の副詞句が含まれているのが判ったでしょうか?

1文節目
(主語) it (OSIRIS-REx) /
(動詞) extended /
(目的語(群))
[<目的語1>shoulder, then <目的語2>elow, then <目的語3>wrist]
(修飾句(目的語(群)を説明))
11 foot of its sampling arm
(関係代名詞())
(which is) known as …TAGSUM

日本語に置きかえておきます;
(主語) それは /
(動詞) 伸ばした /
(目的語(群))
[<目的語1>肩, そして <目的語2>肘, そして <目的語3>手首]
(修飾句(目的語(群)を説明))
11フィートのサンプルシステムの(肩、ひじ、手首)
(関係代名詞())
(そのサンプルシステムは) TAGSAM(タッチアンドゴー・サンプル回収機構)として知られている

2文節目
(主語) it (OSIRIS-REx) /
(動詞) transited across/
(補語) across Bennue
(副詞句) while
[<動詞1>descending <目的語1>about half mile <副詞1> toward the surface]

こちらも日本語に置きかえておきます;
(主語) (オシリスレックスは)/
(動詞) 移動する/
(目的語) ベニューを横切って
(副詞句) ~している間に
[<動詞1>降下する <保護1>約0.5マイル <副詞1> (ベニューの)表面に向かって]

三文目/

コンマが多くて、どの句が文を構成しているか判りにくいですよね?
主文だけ抜き出してみます。

(主語) the spacecraft /
(動詞) executed /
(目的語(句)) the “Checkpoint” burn /
(副詞句)[<動詞>to precisely target /
<目的語>the sample collection site ]

日本語に置き換えると意味が判ってきますね
(主語) その宇宙船は /
(動詞) 実行した /
(目的語(句)) “チェックポイント” 点火(噴射?) /
(副詞句)[<動詞>正確に狙うため /
<目的語>サンプル採取サイトを ]

ちょっとお断りしないといけないのは、””checkpoint” burn”のあとの、”the first of two maneuvers”がどういう構文を構成するのかどうしてもわからず、上記の分解のなかには入れませんでした。
この10月21日の作戦と、将来あるかもしれない2021年1月の作戦の2つの作戦を指しており、10月21日の作戦が”the first of two maneuvers”なのだろうと想像できるのですが、前後の文との接続が判らず、ギブアップです。(泣)

 

全体的に訳していきますね

=再掲=

At 1:50 p.m. EDT, OSIRIS-REx fired its thrusters to nudge itself out of orbit around Bennu.
It extended the shoulder, then elbow, then wrist of its 11-foot (3.35-meter) sampling arm, known as the Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism (TAGSAM), and transited across Bennu while descending about a half-mile (805 meters) toward the surface.
After a four-hour descent, at an altitude of approximately 410 feet (125 meters), the spacecraft executed the “Checkpoint” burn, the first of two maneuvers to allow it to precisely target the sample collection site, known as “Nightingale.”

 

=意訳=
米国東部時間の午後1:50に、オシリスレックスは、ベニューの周回軌道から外れるために、姿勢制御ロケットを噴射した。
オシリスレックスは、タッチ・アンド・ゴー・サンプル回収機構(TAGSAM)と呼ばれる3.35メートルのサンプル用のアームを、肩、ひじ、そして手首と伸ばしていき、そして約半マイル(805メートル)ほど降下しながらベニューを横切った。
そして4時間の降下のあと、”ナイチンゲール”というサンプル採取サイトに目標を定めるために、およそ410フィート(125メートル)の高度に達したところで、宇宙船は”チェックポイント”噴射を実行した。

 

 

オシリスが、ベニューの地表付近に到達してからタッチダウンする直前まで

まずは、以下のパラグラフを訳していきますね。

Ten minutes later, the spacecraft fired its thrusters for the second “Matchpoint” burn to slow its descent and match the asteroid’s rotation at the time of contact.
It then continued a treacherous, 11-minute coast past a boulder the size of a two-story building, nicknamed “Mount Doom,” to touch down in a clear spot in a crater on Bennu’s northern hemisphere.

英単語・語句

treacherous: 不安定な、危険な、不誠実な、あてにならない
coast:惰性ですすむ(動)、 (そりで)滑り降りること(名) 名詞で惰性航行と使っているように思う。
past~: ~のそばを通り過ぎて
northern hemisphere: 北半球

個別文の解釈です

いよいよ地表へのアプローチです。

 

一文目/

この文はそんなに複雑ではありませんが、”to slow”と並列で”(to) match”があることが判ると、構造化が判りやすくなりますね。
(to) matchの方は toが省略されているので気を付けてくださいね。
もう少しいうと”Space craft fired xxx to slow …”と”Space craft fired xxx to match…”が、andでつながっちゃってるわけです。
一応、分解しておきますね;
(主語) the spacecraft /
(動詞) fired /
(目的語(句)) its thrusters [for the second “Matchpoint” burn]/
(副詞句1)[<動詞1>to slow /
<目的語1>its descent]
and
(副詞句2)[<動詞2>(to) match /
<目的語2>the asteroid’s rotation [at the time of contact]]

これも、日本語に置き換えると意味が判ってくるでしょうか?
(主語) その宇宙船は /
(動詞) 噴射した /
(目的語(句)) 姿勢制御ロケット [のために2番目の “マッチポイント” 噴射]/
(副詞句1)[<動詞1>速度を低下させるために /
<目的語1>その降下の]
and
(副詞句2)[<動詞2>合わせるために /
<目的語2>小惑星の回転に [接触するときの]]

二文目/

まずは、文の構成だけ抜き出しておきますよ。
It continued a coast to touch down in a clear spot.
上記の文に、いろいろ修飾が付いているだけですね。

(主語) It /
then
(動詞) continued /
(目的語(句)) [<形容詞>treacherous, 11-minute / <目的語>coast]
(副詞句1)[<副詞 >past <目的語1>a boulder [<形容詞(句)1>two-story building], <形容詞(句)2> nicknamed “Mount Doom”]
(副詞句2)[<動詞2>to touch down /
<目的語2>in a clear spot [形容詞(句) in a crater on Bennu’s northern hemisphere]]

これも、日本語に置き換えると意味が判ってくるでしょうか?
(主語) それ(宇宙船は) /
(動詞) 続けた /
(目的語(句)) [<形容詞>不安定な, 11分間の / <目的語>惰性航行]
(副詞句1)[<副詞 >すぎて <目的語1>岩石を [<形容詞(句)1>二階建てサイズの], <形容詞(句)2> ドーム山と名付けられた]
(副詞句2)[<動詞2>タッチダウンするために /
<目的語2>開けたスペースに [形容詞(句) ベニューの北半球のクレータの]]

全体的に訳していきますね

=再掲=

Ten minutes later, the spacecraft fired its thrusters for the second “Matchpoint” burn to slow its descent and match the asteroid’s rotation at the time of contact.
It then continued a treacherous, 11-minute coast past a boulder the size of a two-story building, nicknamed “Mount Doom,” to touch down in a clear spot in a crater on Bennu’s northern hemisphere.

 

=意訳=
その10分後、宇宙船は、降下速度を下げて小惑星の回転と同期を目的とした2度目の”マッチポイント”噴射をするために、姿勢制御ロケットに点火した。
そして、”ドーム山”というニックネームの2階建てくらいの岩石を通り過ごし、ベニューの北半球のクレータのなかの周囲が開けたスポットにタッチダウンするために、11分間の惰性航行を続けた。

 

 

おわりに

今回のページはいかがでしたか?
オシリスのタッチダウンまでの様子が臨場感を持って書かれており、なかなか面白かったと思います。
調子に乗って、8,000文字のページを書いてしまいました。

このページの最初のほうにも書きましたが、はやぶさ2の帰還は 12月です!
はやぶさ2のカプセルの中に何が入っているのか、期待大ですね。

 

以上、長いページでしたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

なお、わたしが英文を読み書きする際に使っている、アルクのウェブ辞書「英辞郎 on the WEB」の紹介を以下のページに書いています。お時間ある方は覗いてみてください。

英辞郎ProLite
ウェブ版英語辞書の英辞郎 on the WEB が超便利! 無料で使えるPro Liteもあり!英語学習を進めていくときに、ウェブ版英語辞書は必須です。私が使っている、英辞郎 on the WEBを紹介します。無料で高機能なPro Liteを私は使ってます! ...