英語の勉強

未来の記憶媒体...クリスタルに3次元的に情報を記録 / 英語の翻訳

マイクロソフト社が、面白い技術を研究しているようですね。
ガラス状のクリスタルに、レーザで情報を、3次元的に記録するということのようです。

本日はengadgetさんのウェブページの紹介です。
Microsoft’s Project HSD is all about holographic storage for the cloud

2019年に”プロジェクト・シリカ”という研究があり、そのときは石英ガラスに”コールドデータ”を保存するという取り組みでした。(後でリンクなど紹介します。)

今度スタートする”プロジェクト・HSD”は、未だ研究の段階ですが、”ワームデータ(warm data, 書き換え頻度が一定程度有るデータ)”の保存を目指すということのようです。
ワームデータの定義は後ほど出てきますよ。

 

この記事・プロジェクトHSDのポイント/ 記憶媒体の長寿命化・技術革新

現状の記憶媒体の寿命

皆さんは、デジタル記憶媒体には寿命があること知ってました?

現在のハードディスクにしろ、ブルーレイにしろ、情報を閉じこめている樹脂の劣化(白濁、変形)があり、十数年の長期間の保存には向いていません。(みなさんもお気をつけあれ...)
またフラッシュメモリやハードディスクなど電子的・磁気的な記録媒体も、磁界の影響をうけて、保存した情報が劣化するようです。
クラウドに上げてしまうのが、良さそうではありますな。
十年-数十年です。
参考

すなわち、皆さんのおうちにCD、DVD、ハードディスク、USBメモリがあると思いますが、それらの情報は、数十年のうちに劣化して、読めなくなってしまう可能性があるということです。
わたしも、このページを書いているときに、我が家の10年選手のハードディスクは大丈夫か?と確認して、少し安心したところです。
でも、そのうち、移し換えないといけないんですね。

超参考情報ですが、データセンターはSSDとHDDのハイブリッドが主流だと思ってたら、長期保存用のコールドストレージとしては、現在も磁気テープ(LTO: Linear Tape-Open)も未だに使われているようで、びっくりすね。
(日本HDD協会さんの以下の記事「2020年のストレージとHDDの業界展望」
http://www.idema.gr.jp/common/pdf/news/tenbo2020.pdf)

超長期保存に向く、ガラスへの記録

そこを、ガラスなどの透明な物体に光学的に記録して、半永久的に保存しようというのが、プロジェクト・シリカでした。

ガラスは高温にも耐え、経年劣化が少ないため、超長期のデータ保存に最適というわけです。

以下のリンク先の記事(日本語)では、2019年のプロジェクトシリカで、スーパーマンのデジタルマスターを、石英ガラスに保存したという記事です。
Project Silica の概念実証でワーナー・ブラザースの映画「スーパーマン」を石英ガラスに保存

映画会社では、マスターを保存しているのですが、先に紹介したようなハードディスクの寿命による損失リスクをカルくするために、3年に1一度、デジタルマスターのハードディスクを移し替えているようです。
この問題を解消するために、石英ガラスによる記録をトライしているというところだと思います。

ちなみに、日立製作所さんは2014年には同様の技術を使って、DVD並みの高密度記憶方法の開発に成功しているようです。
「<ahref=”https://social-innovation.hitachi/ja-jp/case_studies/rd_silica_glass/”> 貴重な情報を3億年先まで残す半永久的デジタルデータアーカイブ技術 」

書き換えも可能な、ホログラフィック・ストレージ・デバイス(HSD)へ

さて、いよいよ本題です。

ガラスへ記録する技術を一歩進めて、書き換えも可能なホログラフィック・ストレージ・デバイス(HSD)の研究を始めたわけですね。

MS社のウェブページです;
Project HSD: Holographic Storage Device for the Cloud

ホログラフィック・ストレージ・デバイス(HSD)の原理

リンク先の動画を見ていただきたいのですが、LiNbO3 (3酸化・リチウム・ニオブ)の結晶ガラスの直方体の中に、レーザを当てるとこにより、電子分布の濃淡を作って情報を、立体的に記録するようです。

読み出しは、記録した結晶ガラスに参照光を当てて、その透過パターンを読み取ることによって、情報を再生します。
記録した場所には、光の角度を変えたときに、透過するパターンを変えるように記録することができ、異なるデータセットを一か所に記録することができます
この特性を使って、高密度に情報を記録しているようですね。

ホログラフィック・ストレージ・デバイス(HSD)の高密度化は、スマホカメラと深層学習のおかげ

この技術的な特質ポイントは、原理的には昔からあるようですが、光学系の解像度が問題で高集積化できなかったようです。
しかし、最近の以下の技術進化により、複雑な光学系の問題をデジタル処理できるようになったというところが、技術的なブレークスルーのようですね。

  1. 高解像度カメラが安価に手に入る。(スマホ用に大量生産されて、コストが安い!)
  2. 深層学習技術が汎用化されて、画像の解析手法が発達した。

 

データは、紫外光(UV)を当てて消去

記憶媒体のLiNbO3の電子分布は、紫外光を当てることにより、もとの電子分布状態にリセットできるようです。
間違って、太陽や蛍光灯に当てちゃうと、大変なことが起こるわけですね...。
この結晶ガラスには、メカ的な要素がないので、故障も少ないでしょうから、分解して取り出す可能性も少ないということでしょうか?

コールド、ワーム、ホット データ ってなに?

ストレージのハナシには、この定義をしっておく必要があります。

コールドデータ = 更新頻度がほぼ無いデータ
ワームデータ = 更新頻度が中間のデータ
ホットデータ = 更新頻度が高いデータ

コールドデータ:”プロジェクトシリカ”の対象
ワームデータ:この記事で紹介する”プロジェクトHSD”の対象

IBMさんのウェブページに、それらしい定義が書いてありました。
Multi-temperature data management guidelines

日本語で読みたい方はこんなページもありました。
JEITAテープストレージ専門委員会コラ(ボ? or ム?)/「ビッグデータ時代のデータマネージメントとは?」
https://www.jdsf.gr.jp/backup/JEITA/2014/jeita03.html

 

ちょっと脱線 / データ保存の寿命の注意点!

データ・ストレージのメカニカルな寿命以外にも、後世にデータを残すために考えてことがあるようです。

機器の寿命

1. CDを保存しておいたけど、CDプレーヤって、数十年後もあるの?
例えば、もうフロッピーディスクって、ほとんどのご家庭・事業所には残ってないですよねぇ。フロッピーに保存した、昔の一太郎(昔でいうワード)のファイルは、もう見れません。
2. 外付けUSBハードディスクがあるけど、USB接続って、将来も同じ形?
3. ネットワーク・ハードディスクがあるけど、IP通信、RJ45のネットワークって将来もあるの?

フォーマットの例

1. PDFやJPEGでデータが残っているけど、将来も読める?
jws(一太郎のファイル)って、今読めないですね。
2. NSTFのシステムは、将来もつかわれてるの?

ほかにもいろいろあると思います...

記事の翻訳解説していきますね

少し見慣れない単語もありますが、構文としては平易に書かれているので、直接訳しますね。

ホログラフィック・ストレージの原理

まずは、以下のパラグラフを訳していきますね。
ビデオの解説文なので、ビデオと見比べながら読むと、イメージが判りやすいと思いますよ。

As the video above explains, holographic storage works by writing and reading data from an optical crystal.
Since it’s a three-dimensional storage medium, it allows you to store a large variety of data sets within one crystal.
Afterwards, it can be wiped clean with UV light and reused.
Technically, this is a better solution than flash storage, which has limited read and write capabilities, and hard drives which are prone to mechanical failure.

英単語・語句

prone to ~: ~しがちである、~する傾向がある

 

翻訳です

=意訳=
ビデオで説明しているように、ホログラフィック・ストレージは、光学結晶に読み書きすることで動作する。
3次元的なストレージメディアなので、大きなバリエーションのデータセットを、一か所に(*1)保存することができる。
その後、UV光を使って、きれいに消して再利用することができる。
このホログラフィック・ストレージは、書き換え(回数)に制限があるフラッシュストレージや、機械的損傷しがちなハードディスクよりも、良いソリューションです。

*1: 英文では、”within one crystal”と書いてありますが、”一つの結晶に”と訳出すると、”1セットの結晶構造に複数のデータが保存できる”と誤解されそうなので、”一か所に”と訳しました。
実際には、ナノサイズの結晶構造よりもはるかに大きい数マイクロ-数ミリサイズの立体空間に、複数のデータセットが記録されるはずと理解できる。

ホログラフィック・ストレージのダウンサイド(不都合な点)

次の文です。HSDの技術的なブレークスルーについて、解説した文なので、この記事の重要ポイントですよ!

The downside, though, is that holographic storage traditionally requires complex optics to accomplish things like one-to-one pixel matching from the crystal to the camera that reads it. But things are different now.
“Today, we can leverage commodity high-resolution cameras and modern deep learning techniques to shift the complexity into the digital domain,” Microsoft researchers explain.
“This lets us use simpler, cheaper optics without pixel matching and compensate for the resulting optical distortions with commodity hardware and software.”

英単語・語句

downside: 下側、下部、不都合な点、下落傾向
leverage: この場合動詞。利用する、活用する、てこ入れする、借入金で投機させる
distortions: ゆがみ
commodity: 商品、売買品、(大規模に取引される)一次産品、農作物、鉱物、日用品、生活必需品、便利なもの

個別文の解釈です

こちらの文もシンプルなので、直接訳します。

=意訳=
以前から、ホログラフィック・ストレージには、クリスタル(の記憶媒体)とカメラの画素をマッチさせるために、複雑な光学系が必要だった。
しかし、今は状況が違う。
“今日では、日常的に使われるハイレゾカメラと、最近の深層学習技術で、複雑さをデジタル領域にもってくることができる”とマイクロソフト社の研究者は説明する。
“これらの技術により、ピクセルマッチングや光学的にゆがみを補正することなしに、日常的に使われるハードウェア・ソフトウェアによりシンプルで安価な光学系を使うことができる。”

最後の一文の”This let us use ~”は、いかにも英語っぽい表現で、今回は”~を使うことができる”と訳してしまいました。

 

おわりに

今回のページはいかがでしたか?

このページを書くにあたって、調査したなかで、わたし的に勉強になった点を列記しておきます。(ホログラフィック・ストレージに限らず)

1. 石英ガラスに、データを保存すると、千年単位で保存可能。でその技術は2014年には実用化されていた。
2. CDとかDVDに寿命があると聞いてはいたが、それは、樹脂の劣化が理由。
3. 自分のハードディスクの寿命が心配...(と本ページを書いてて思った)
4. 記憶メディアの寿命が持ったとして、物理的、ソフト的にデータが復元できるか?という問題もある。
5. HSDの説明のところで、光学技術のほかにdeep learningも使って、透過光のパターンをデコードする。こんなとこにも、深層学習によるデータ処理技術が使われているのね...

皆さんは、どうかんじたでしょうか?

 

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

なお、わたしが英文を読み書きする際に使っている、アルクのウェブ辞書「英辞郎 on the WEB」の紹介を以下のページに書いています。お時間ある方は覗いてみてください。

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