英語の勉強

スペースXの再利用可能なロケット、成層圏へフライトテストの準備着々と / 技術英語の翻訳

スペースX社の有人宇宙船のスペースドラゴンがテスト飛行を終えたニュースは記憶に新しいですね。

同社では、有人ロケットの再利用技術開発も進めているようです。

前回、当ブログでは、モデルSN5の高度150メートルへのテスト記事・動画のエンガジェットさんの記事を紹介しました。

今回は、モデルSN8が高度18キロメートルまで到達するテストを2021年2月に計画しているという記事を紹介しますね。

高度18キロメートルというと、未だ成層圏の中ですが、対流圏を超えたところなので、1段階進むということだと思います。

今回読んでゆくエンガジェットさんの記事です。

SpaceX’s next Starship prototype will try a 60,000-foot return flight

 

本ブログでも、以下の記事でモデルSN5の高度150メートルへのテストを紹介しました。

 

Study English!
Study English ! in 技術トピック / SpaceXの垂直離着陸技術 / pan outスペースX社のロケット垂直離着陸の実験の成功が、報道されました。 英文記事の中で使われている、表現を紹介するとともに、記事内容に対するコメントを加えています。...

 

 




記事を読んでの雑感

垂直着陸技術で、有人飛行もコストダウン!

宇宙へ人や物を運ぶには、ロケットが必要ですね。

でもこのロケットは、莫大なお金をかけておきながら、だいたい使い捨てなのです。でも、これを再利用することにより、コストダウンができるというわけです。

以下の記事によると、衛星打ち上げにかかる費用は、通常100 – 200億円のうちあげコストが、スペースXだと60億円になるそうです。安い!...とは言えないですが...

キーワードは「再利用」と「低価格」。宇宙ビジネスの起点となるロケット開発・打ち上げの今

今、再利用技術が実用化しているのは、第一段目の切り離したロケットを回収する技術のようですね。

スペースX社の有人飛行は、一段目まで再利用中

今回紹介した記事は、有人宇宙船の再利用の話ですが、スペースX社と言えば、つい先日スペースドラゴンという宇宙船が、帰還テストに成功しましたね!この時も、一段目のロケットは、洋上回収できたようです。

でも、今回紹介する、モデルSN8は、模擬nose coneを装着しており、有人飛行を前提とした宇宙船再利用のための実験ということになります。

技術発展に期待したいですね。

 

それでは、英文を解説してゆきます!

英文の解説

それでは一緒に読んでいきましょう!

SpaceX’s next Starship prototype will try a 60,000-foot return flight」(リンク再掲します)

「SN8のプロトタイプは、あと一週間くらいで完成」と,スペースXイーロンマスク氏がツイート

第1パラグラフの2文目、3文目です。

Elon Musk has shared that the company’s SN8 Starship prototype should be finished in “about a week,” and will conduct Starship’s first high-altitude flight. After static fire tests and checkouts, SpaceX will attempt a 60,000-foot return trip with the rocket.

conduct” = “実施する” です。

ほかには、”導く”、”運営する”、”指揮する”、”(電気などが)伝導する”という意味もあります。

技術文章で名詞形で出てくると”conductor”で”(電気などの)導体”として良く使われますね。

派生して、”superconductor”で”超伝導体”、”semiconductor”で”半導体”と派生語はいろいろあるので、ぜひ覚えておきたいですね。

altitude” = “高度”です。

日常生活では、あまりお目にかからない単語なので、出会ったときに覚えておくと良いとおもいます。

飛行機に乗るかたは”フライトナビケーション”画面で、高度のところの英語を見ていると、出てくると思いますよ。

attempt” = “試みる”、”企てる”です。

文法的には、あまり難しくないとおもいますので、訳しちゃいますね。

=再掲=

Elon Musk has shared (via TechCrunch) that the company’s SN8 Starship prototype should be finished in “about a week,” and will conduct Starship’s first high-altitude flight. After static fire tests and checkouts, SpaceX will attempt a 60,000-foot return trip with the rocket.

 

=直訳=

イーロンマスク氏は、スペースX社の宇宙船SN8のプロトタイプは約1週間で仕上がることを(TechCrunchを通じて)共有した。そしてその最初の高高度飛行を実施だろう。地上燃焼テストおよび(そのテスト結果)精査の後、スペースX社はそのロケットの(高度)60,000フィート(約18,000メートル)の往復旅行を試みるつもりだ。

 

英語の原文が少し雑というか口語調というか、少し厳密でないような英文だったので、マネするときは場面を気を付けてマネしてください。

どんなところで、そう思ったか、参考まで書いておきます。

shareの使い方が今風?

1文目の動詞”share”は、ウェブ業界で使う”share”というイメージで使っているのか、”分かち合う”対象が明確でない。

だれとshareしたんだろう?と疑問が残る語感です。今風な使い方なんでしょうか?

動詞finishと目的語prototypeは、語感が釣り合わない

また、同じく1文目です。that節の中に、”prototype should be finished”とあります。

でも、技術英語としては、目的語の”prototype”に使う動詞として”finish”は語感が軽すぎるように感じました。

“finish”は単純に訳すと”終える””終わる”で、なにか継続していたものが完了すると使いますね。

例えば “finish the project”のように、”project”という継続しているものが終わるというカンジです。

“finish”の使い方としては、もう少し口語調で”仕上げる”という語感もあります。

“finish homework”とか”finish a task”とか”finish the book”という、軽い具合です。

柔らかめの語感ですね。

主語が違うものをandでつなげている

一文目はand以下の主語が、少しボケています。

動詞”will conduct the first flight” するのは、イーロンマスク?スペースX?と迷います。文脈とTechCrunchさんの記事から考えると、Elon Maskがshareしたのは;

  1. prototypeが近々完成すること、
  2. その後高高度フライト(テスト)を実施する

という2点です。

とすると、以下のように書き換えるのが、日本人には判りやすいですね。(技術英語としてはこちらの方がシンプル)

Musk shared that prototype production will be finished and the high-altitude flight test will be conducted.

fire test => firing test

また、static fire testも、ググってみるとstatic firing testが一般的に使われているようです。

 

例示した語感は捉え方や、属しているコミュニティによって、捉え方が違うと思いますが、英語が母国語でないと、上記のように感じてしまいます。

ご自分で英文を書かれる際には気を付けてみてください。

60,000 フィートフライトは、宇宙旅行や惑星間航行を目指すスペースXにとってメジャーマイルストーン

最終パラグラフの最終2文です。

While 60,000ft is far from space (that starts at roughly 62 miles), reaching such altitude would show that Starship is viable for more than brief jumps. It would also represent one of the last major steps before Starship reaches orbit and, eventually, fulfils SpaceX’s dreams of space tourism and interplanetary journeys.

While AAA, BBB” = “AAAではあるが、BBBではある” とか、”AAAである一方、BBBである”と訳出します。

以下の一文のは、that以下が目的語だと判ると、訳せますでしょうか?

(主語) [reaching such altitude] (動詞)[would show] (目的語) [that Starship is viable for more than brief jumps].

viable” = “実行可能な”というのがこの文脈で使えそうです。個人的には初めて見た単語で、技術文章ではあまり出てこないのでは?と思ってます。capableとかの方が一般的で親しみやすいと思います。

余談

ラテン語系の”vivere”=”生きる”から派生しているようで、その語源に近い意味で、”生きていける””生存能力がある””成長できる”という意味もあります。

スペイン語で”vivo para amore”というと”愛のために生きる”です。

eventually” = “最終的には”、”いずれは”、”ゆくゆく”

最後の文が、論理構成がいまいちですが、意訳も含めて訳してしまいますね。

=翻訳(含む意訳)=

60,000フィート(18km)は、62マイル(100km)から始まる宇宙には遠いものの、その高度(18km)へ手が届くということは、その宇宙船が簡単なジャンプ以上の可能性を持っていることを示している。

そしてそのことは、宇宙船が軌道へ到達する前の、ゆくゆくはスペースXの夢である宇宙旅行や惑星旅行を実現する前の、最後の重要なステップの一つであることを表している。

なんとなく分かったでしょうか?

最後の一文が、キモチは伝わってきますが、シメの文にしては論理構成が...

 

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

なお、わたしが英文を読み書きする際に使っている、アルクのウェブ辞書「英辞郎 on the WEB」の紹介を以下のページに書いています。お時間ある方は覗いてみてください。

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