今日も宇宙関連の記事ですねぇ~
今回の記事は、ISS (International Space Station / 国際宇宙ステーション)に冷蔵庫が追加装着されるというおハナシです。
記事では、技術英語ではありませんが、いろいろな語句・言い回しが使われていて、ボキャブラリーを増やしたいという方にもピッタリの英文ですよ。
単語の意味も多数書いたので、勉強がてら読んでみてくださいね。
本日もengadgetさんの記事です
「The International Space Station gets its first space refrigerator」
この記事は、英語が少し粗削りですが、意訳も含めてどんどん訳していきますね。
興味本位で調べた、プチ情報も、併せて紹介するので、興味のある方は見てみてください。
この記事の興味ポイント
まずは、ダイジェストで、この記事で興味持てたポイントを紹介しておきますよ。
わたしが興味持った順番に紹介するので、英文と、順番が前後していますが、悪しからず...
翻訳は、このページの後半で紹介してゆきます。
国際宇宙ステーション(ISS)における冷蔵庫の用途
最後のパラグラフを読むと判ります。
ISSの冷蔵庫の用途と言えば、温度変化に敏感な実験用サンプルの貯蔵が主たる用途だったようです。
これだと、味気ないですね...
でも、今後は(最近は?)日持ちしない食品(perishable meals)も保存するようになるようです。
これで、宇宙の食事が少しはまともになるのが期待されているみたいですね。
冷蔵庫の放熱のしくみは、ISSの水冷冷却機能を利用
でも、ISS用の冷蔵庫はポンプを使っていないということので、気化熱の原理を使った冷却システムを使ってないようです。なんらかの原理(*1)でその奪った熱は、ISSの水冷システムへ逃がす構造のようです。
第2パラグラフの後半を読むと判ります。
*1:冷蔵庫本体の冷却技術は、ペルチェ素子のようなもので、電力を利用して冷却するのかしら?と思ったりしました。
ペルチェ素子の説明です。リンクを貼っておきますね。
「ペルチェ素子とは」
「How Peltier Coolers Use the Peltier Effect to Heat and Cool」
ISSには冷蔵庫はすでに6コある
ISSには冷蔵庫はすでに6コ有って、追加の2コが、2020年10月5日に到着したようです。
で、その2コを使って、食品を保存できるので、「宇宙飛行士の食生活も少しは向上する」というのがこの記事の趣旨のようですね。
以下に、NG-14(ロケット) / キグナス(Cygnus/宇宙船)の製作会社の、ノースロップグラマン社(Northrop Grumman)の今回のミッションのウェブページを貼っておきますね。
「NG-14 Mission Updates」
記事の翻訳解説です
いままで宇宙飛行士の食生活は、あまり良くなかった
英単語・語句
astronaut:宇宙飛行士
so long as ~ (= as long as~): ~する限りにおいては
suck A out of B: BからAを奪い取る、吸い取る、失わせる
pouch:ポーチ、小物袋、(カンガルーなどの)腹袋
しかし、なんの比喩でpouchを使っているのか、今一つ判りませんでした。(スミマセン)
munch: もぐもぐ食べる
given that~: ~から考えると、~を考慮すると、~だと仮定すると
lack:欠いている、ほとんどない、不足している
shelf stability: shelf-stable で”常温保存可能”。shelf stabilityとしては辞書に掲載されていないが、派生語と考えられる。このページでは、”常温保存可能性”と訳出する。
訳出
Being an astronaut is great so long as you don’t mind sucking your dinner out of a pouch and munching on freeze dried ice cream given that fresh foodstuffs have traditionally lacked the necessary multi-year shelf stability.
少し技術文書で見かけない言い回しが多いですが、あまり難しいところはないと思うので、どんどん訳していきますよ!
主文
主文は、”Being an astronaut is great (so long as ~)”ですね。
これは、Beingの使い方に慣れていれば、簡単だと思います。
“~な限りにおいては、宇宙飛行士であるということは素晴らしい。”ですね。
その限定している内容が少し長ったらしい上に、ロジック的な繋がりをすっとばしているため、わかりづらい・訳しづらいのですが、分解して訳してゆきましょう。
as long as 以降を2つに分割して大きな意味を捉える
以下の2つに分けて、大きな意味を捉えます;
1. as long as you don’t mind ... dried ice cream
2. given that fresh food stuff have...shelf stability
1.は “...を気にしなければ”という意味です。
...には ”宇宙飛行士が食事を我慢しなければならない”ことが書いてあります。
2.は、1.(食事が悪いこと)が起こる背景を説明しているのです。
具体的に言うと、食料はなるべく常温で日持ちのするものが必要なので、新鮮な食料は宇宙にもっていけないのが常識でした。
1,と併せて考えると、ザックリ訳すと”新鮮な食料が宇宙には無いので、食事が悪くなるが、それを我慢しさえすれば、宇宙飛行士であることは素晴らしい”ということを言いたいわけです。
前半部分です(1.)
まず、上の前半部分です。
(主語) you /
(動詞) don’t mind
(目的語)
[<動詞1>sucking <名詞句(目的語1)>your dinner out of a pouch
<動詞2>munching on <名詞句(目的語2)>freeze dried ice cream]
ザックリ訳すと以下のようになります。
“以下の2つをあなたは気にしない、
1)ポーチからディナーを排除する、
2)フリーズドライのアイスクリームをもぐもぐ食べる”
後半部分です(2.)
次に後半部分です。
分解すると以下のような構造であることが判りますね。
given that
(主語) fresh foodstuffs /
(動詞) have traditionally lacked /
(目的語)the necessary multi-year shelf stability
新鮮な食料は、従来より、必要な長期保存性が欠けている。
訳出
ということで、もう一歩統合して、直訳的に訳してみます。
=再掲=
Being an astronaut is great so long as you don’t mind sucking your dinner out of a pouch and munching on freeze dried ice cream given that fresh foodstuffs have traditionally lacked the necessary multi-year shelf stability.
=直訳=
新鮮な食料は(宇宙で)必要な長期保存性を欠いていることを考慮して、ディナーをポーチ(?)から排除したり、フリーズドライのアイスクリームをモグモグ食べたりするのを気にしなければ、宇宙飛行士になるのは素晴らしいことだ。
もう1歩、日本語として読みやすくしておきたいですね。
=意訳=
宇宙では、新鮮な食料は長期保存性が無いので食生活はあまり良くない。ディナーを我慢したり、フリーズドライのアイスクリームをモグモグしたりすることを気にしなければ、宇宙飛行士になることは素晴らしいことだ。
筆者の方は、食にうるさいようですねぇ~
宇宙ステーション用冷蔵後の特徴
英単語・語句
BioServe Space Technologies at UCB:バイオスペーステクノロジーというコロラド大学ボルダー校の研究室のようです
aerospace master: 航空宇宙科学修士
fridge: refrigerator(冷蔵庫)の短縮形
microgravity:微小重力
stationary: 動かない、固定された、変化しない、安定している
(蛇足ですがstationery(文房具)とはスペルが違います)
get rid of~: ~を排除する、~を追い払う、~を更迭する など
tap into~: ~活用する、~へ入り込む、~へ進出する
訳出
ちょっと英文が荒っぽいですが、頑張って訳していきますよぉ~
“A normal fridge on Earth is also hot in the back. We can’t have that in space. Warm air doesn’t rise in microgravity; it stays stationary and can cause things to overheat, so you must get rid of heat some other way. ISS has a water-cooling system we’ll be tapped into to directly dump the waste heat and keep the system cool.”
1, 2文目/ 普通の冷蔵庫は空冷式
1文目、2文目の意味はかんたんなので、以下に書いておきますね。
“地球上にある普通の冷蔵庫は後ろが暖かい。(でも)宇宙ではダメです。”
3文目/ 重力がない宇宙では、熱による対流が無いので空冷式は使えない
Warm air doesn’t rise in microgravity; it stays stationary and can cause things to overheat, so you must get rid of heat some other way.
it stay stationaryから解説しますね。
(主語) it /
(動詞1) stays /
(補語1) stationary
(動詞2) cause /
(目的語2) thing to overheat
itは続く動詞1のstayから想像すると「空気」なのですが、動詞2のcauseの主語と考えると”空気が上昇しない”こと全体とも考えられる。
ということですが、気にしないことにしましょう。
意訳は;
微小重力下では、暖かい空気は上昇しないため(熱対流が発生しないので)、空気はその場で止まっておりオーバヒートを引き起こす。そのため、何か別の方法で熱を取り除く必要がある。
となるでしょう。
対流のことは書いていませんが、技術的には補足しないと論理的につながりがいまいちキモチ悪いので、補足しておきました。
4文目/ 水冷式で冷却している
ISS has a water-cooling system we’ll be tapped into to directly dump the waste heat and keep the system cool.
we’ll be tapped into は、(that) we tap intoの間違いじゃないか?と思います。そういう前提で、訳してゆきますね。
(主語) ISS /
(動詞) has /
(目的語) water-cooling system
(関係詞) that
{<主語1>we <動詞1>will tap into
(副詞句) to
[ [<動詞2>directly dump / <目的語2>waste heat]
and
[<動詞3>keep / <目的語3>system <補語3>cool] ] }
訳は次の項でまとめて書いておきますね。
第2パラグラフのまとめ
=再掲=
“A normal fridge on Earth is also hot in the back. We can’t have that in space. Warm air doesn’t rise in microgravity; it stays stationary and can cause things to overheat, so you must get rid of heat some other way. ISS has a water-cooling system we’ll be tapped into to directly dump the waste heat and keep the system cool.”
=意訳=
地球上にある普通の冷蔵庫は後ろが暖かいですね。でも宇宙ではダメです。なぜなら微小重力下では、暖かい空気は上昇しないため(熱対流が発生しないので)、空気はその場で止まっておりオーバヒートを引き起します。
そのため、何か別の方法で熱を取り除く必要があるのです。
我々は、冷蔵庫システムをISSの水冷システムに接続して、発生した熱を冷却システムに捨てて、冷やしています。
今一歩日本語がこなれていませんが、あしからず。
おわりに
ISSの冷蔵庫の記事、いかがだったでしょうか?
食事が充実するというのは、なんとなく想像はできますが、重力がないとお皿にも盛れないので、本当に食が充実するのか?という疑問は残りました。
そのうち、宇宙旅行に行った方のYoutube投稿が見れるような世の中になるんでしょうか?
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
なお、わたしが英文を読み書きする際に使っている、アルクのウェブ辞書「英辞郎 on the WEB」の紹介を以下のページに書いています。お時間ある方は覗いてみてください。
