日本もようやく脱石炭(といっても非効率)にむけてようやく第一歩を踏み出したようです。そんななか、ドイツの電力大手であるウニパー社の脱炭素化を、GE社が手伝うという記事が有ったので、ここから語句をひろって紹介してみますね。
最近夏が異常に暑くて、気候変動で気温がどこまで上振れするのか心配な今日この頃です。
というわけで、今日の語句は「climate neutrality」です。
記事は、Power Magazineさんからの引用です。
「GE Will Decarbonize Uniper’s Gas Power Fleet」
Uniper社に納入したGE社の発電機(多くはガスタービン)について、天然ガス中に混ぜる、水素燃料の比率を高めることにより、脱炭素化を進める合意をしたとのこと。
後ほど、この辺りもコメントしますね。
今回の記事の内容です
本日の語句:climate neutrality
本日の語句は、この記事の2セクション目の、一番最初の文です。
For Uniper, the agreement is another lynchpin for a strategic goal it set at the beginning of this year to achieve climate neutrality in its European generation business by 2035 and the rest of the world by 2050.
== 今日のフレーズ ==
climate neutrality
気候中立性
carbon neutrality (炭素中立性)というのは、よく聞いてましたが、climate neutralityというのは初めて聞きました。
EUのウェブページを見ていると、2018年ごろから使われ始めた言葉のようで、2019年11月のCOP25でも話題になっていたようです。
今日のフレーズを含む一文を訳すと以下のような感じですね。
ウニパー社にとって、この(GEとの)協定は、今年の初めに設定された戦略的目標のための重要な構成要素を成している。その戦略目標で、EUの電力業界では2035年までに、その他の業界は2050年までに、気候中立性を達成を目指している。
一文が長すぎるので、2文に分割して訳してみました。
また、原文中で関係代名詞が無い上に、指示代名詞があいまいで、少し不明瞭なところもあります。(もしかして、英語が母語じゃない人が書いた英文かと思ったりして...)
私なりに、意訳も含めると上記のような日本語になると思います。
不明点はそれぞれ以下のように理解して訳しています。
- strategic goalはウニパー社の戦略的目標と理解した(EUではなく)
- to achieveの主語がユニパ―社なのか、EU社会の構成員としてなのかがあいまいだが、意味を考えると双方の主語に係っててもおかしくない。(ので、動詞となる句が一つ不足しているような...)
- in “its” European generation business の”its”が何を指しているのか、わからないので訳出していない。
本日の語句2:lynchpin
先の文章に出てきた単語から、「こんな単語があるんだぁ」と思ったので紹介です。
lynchpin :
-車軸から車輪がはずれないようにするピン
転じて
-最も需要な部分、根幹、急所
日本語における、要(扇子の止めピン)と良く似た表現だと思いました。
スペルは「linchpin」とも書くようです。発音はあえて日本語で書くと「リンチ(ュ)ピン」ですね。
記事のハイライトポイント
ここからは、技術的内容で興味の持てるポイントを紹介していきますね。
CO2削減は、水素燃料の比率増加
発電機は、おおむね化石燃料を燃焼させて、発電しているわけですが、炭素原子を含む天然ガスは、CO2を必ず発生させます。
他方、炭素原子を含まない水素を燃料にすれば、CO2は発生しないということです。
ガスタービンの燃料は、多くは天然ガスなのですが、もともと水素も含まれるので、その混合割合をどこまで上昇させることができるか?という検討だと思われます。
もともと天然ガスで設計されたガスタービンを、100%水素燃料に転換するのは難しいらしく、一筋縄ではいかないようです。
ドイツの会社だが、米国GE社の発電機で発電
ドイツの会社だけあって、ジーメンス社の発電機が主力だと思い込んでいたので、少しあれ?とおもいました。
ウニパー社はイギリスおよびオランダの発電事業も手掛けており、そこではGE社の発電機が主力のようです。したがい、今回の協定の対象は、イギリスおよびオランダの発電事業とのことで、納得しました。
当然ドイツ国内は、ジーメンスの発電機を使っているみたいですね。(と紹介した記事のなかに書いてありました。)
ウニパー社の発電量の6割はガス発電
ウニパーのアニュアルレポートに電源構成割合が掲載されていました。
Anual Report of Uniper (page 114)
- ガス:60.3
- 石炭:19.9
- 原子力:11.0
- 水力:12.7
- バイオマス:0.0
- その他再生可能エネルギー:0.1
- 合計104 単位:ギガkW
104 ギガkW中、6割がガスでなので、これをいかにカーボンニュートラルの状態に近づけるか?ということが、GE社との協定の意義ということですね。
ついでに感想を2点ほど;
- 石炭の割合は2割あり、先ほどの英文の中に出てきた”another lynchpin”の “another”を使った意味が判ったような気がしました。すなわち、
- decarbonizationのメインは石炭の削減
- もう一方(another)は燃料ガスの水素化
- ウニパー社の再生可能エネルギー割合は0.1%と低いです。これは、日本における東京電力が再生可能エネルギーの割合が少ないのと一緒ですよねぇ。(東京電力は3%)
参考ですが、東京電力の石炭割合は5%でした。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
なお、わたしが英文を読み書きする際に使っている、アルクのウェブ辞書「英辞郎 on the WEB」の紹介を以下のページに書いています。お時間ある方は覗いてみてください。